「きっかけのチカラ」は、おとなラグビーコミュニティーに関わる方へ向けて、ラグビーの魅力を発信するコラムです。『おとラグ』の熱を受け継いだビーチラグビーサークルが全国に生まれ、ラグビー愛を伝搬しています。きっかけのチカラ vol.7 では、関東を中心に活動する『STELLAR SCRAMBLE』のサークルを盛り上げる運営メンバーに話を聞きました。
STELLAR SCRAMBLE
星のように輝く仲間が、スクランブル交差点のように交流することをイメージしたビーチラグビーサークル。Stellar••••"星の""恒星の""星型の"、演劇・スポーツ界における"スターの""花形の"、演奏や経歴などが"素晴らしい""輝かしい"の意味。Scramble•••人との交わり、渋谷を象徴するスクランブル交差点の意味を込めている。
ーーーラグビーと出会ったきっかけは何ですか。
Tama:私が通っていた高校には元日本代表の先生がいました。ラグビー部が華麗なステップをしているのを見てラガーマンに憧れ、日本代表の試合を見るようになりました。また、当時は日本選手権で大学生が社会人に勝つこともあり、大学生も応援するようになって、明治大学を好きになりました。東京に上京してきたとき、家の近くに明治大学ラグビー部のグランドがあったので、悩んだ時や気分を変えたいときに明治大学のグランドへ練習を見に行っていました。
たー:中学3年生の秋に水泳部の部活動が終わって暇を持て余していた時に、高校ラグビー部の顧問に誘われたことがきっかけでラグビーをはじめました。
たえぽっぽ:ラグビー好きの友達に7人制ラグビー日本代表の合宿が近所であることを聞きました。せっかく教えてもらったし、そのラグビー好きの友人は海外在住で合宿を見れないから代わりに見に行っとくか。ぐらいの気持ちで行ったのですが、当時は観客が少なくて。”近所で合宿するときは、自分だけでも応援しよう”と応援しているうちに好きになりました。さらに2019年にラグビーW杯があると知って、7人制の代表の試合が見られないなら..と7人制と15人制の違いが分からないながらも”同じラグビーだから観戦してみよう”と観戦していくうちにハマりました。
たっつん:母校が明治大学ということもあり、大学ラグビーを観戦していたのがきっかけです。2019年のワールドカップ以降、トップリーグ、リーグワンも積極的に観戦するようになり今に至ります。最近では遂に高校ラグビーまでチェックするようになってしまったので沼化しています。
ーーー皆さんの考えるラグビーの魅力は何でしょうか。
Tama:チームみんなが1つのことに向かってお互いサポートし合うことが魅力です。ラグビーとは「One for all All for one」だなと。この言葉が最近少し分かってきました。『試合に出てプレーをすることがラグビーではなくて、チームのために何ができるのか、それがラグビーなんだ』と思っています。ラグビーって、沼だわ…と思う今日この頃です。
たえぽっぽ:ラグビーはポジションによってもいろんな人がいます。「みんな違ってみんないい」というのが魅力です。走るのが得意な人・苦手な人、身長が高い人・低い人 それぞれにしかできないポジションがあって、どんな人でも活躍できるポジションがあります。トライを決める人は1人でもそのトライはそれぞれが自分の役割を果たした結果と考えてる人が多いです。またノーサイドの精神は選手はもちろん観客もそうなんです。観戦に行ったときに敵と味方が分かれないし、試合中はそれぞれ応援しますが、試合が終わればお互いに称え合うのはラグビーの魅力だと感じます。
たー:体型や得意不得意・・・さらには価値観や考え方も違う者同士が、他人の短所を攻めるのではなく他人の長所を尊重し皆で他人の短所を補い、そしてワンチームとして戦うのがラグビーの魅力だと思います。ボールを前に投げてはいけないので、普通に考えればボールはどんどん後ろに行きますが、ボールを持った自分が痛い思いをしながらも一歩前に出ることでボールが前に進み、そのボールを活かすために自分が犠牲になって仲間に託すのも魅力です。
たっつん:「同じじゃないから、強いんだ。」と言えるチーム力だと思います。かれこれ5年前のCMになりますが、三菱地所グループのCM(*1)が印象的でこのコピーが大好きです。人それぞれ強みが異なり、集まることでみんなの強みとなる。スポーツも仕事もそれがチーム力であり最大の魅力だと思います。体型•ポジションがここまで異なるスポーツってなかなか無いですよね。
ーーーそれぞれにラグビーが好きで『おとラグ』に参加されましたが、『おとラグ』の魅力は何だと思いますか。
たえぽっぽ:初級向けの魅力はボールに触れることです。試合会場やイベントでボールを触ることはできますが、特に何も言われることなく、意味も分からず投げてみるだけだったりします。『おとラグ』では実際に選手から投げ方を教えてもらって、理解しながらプレーを体験できることが魅力です。
Tama:初級向けはサポータープレーヤーが毎回参加してくれて、実際に選手に会えるのも魅力です。そこで実際に話して自分もやってみて、例えばラインアウトでボールをまっすぐに投げるのはこんなにも難しいんだ、とか選手の大変さが分かって、よりラグビー観戦が楽しくなりました。ノットストレートせずに投げれる選手は神にしか見えません!
たっつん:大人になってから、会社や仕事以外でも交友関係が広がることが一番の魅力だと思っています。以前、会社で社内運動会を開催していましたが、所属部署以外の人たちと関係を持てる、上司も部下も関係無く、いわゆる斜めの関係を構築できることが最高でした。昼休みにチームごとに綱引き、玉入れの練習するなんて想像もしていませんでした。おとラグも同じような世界観があると思っていて、業種、仕事、世代を超えてラグビーという共通言語の中で新たな関係を築けることが素晴らしいなと思っています。
たー:タッチフットやラグビーなど大人も参加できるラグビー教室はあると思いますが、未経験者や女性や高齢者など幅広く楽しめるのはおとラグだけだと思います。しかも、①初心者から経験者まで満足できる内容、また②現役ラグビー選手と一緒に楽しめる、そして③何よりも喜連選手の人柄と話術で皆を笑顔にしてくれることが魅力だと思っています。②と③は喜連選手だけができることなので、唯一無二だと思います。中級向けに参加した男性は昔ラグビーをやっていた人が多いです。もう一度ラグビーボールを触りたい、あの頃みたいにやってみたいと参加しているんじゃないでしょうか。ラグビーを観て楽しむのではなく、プレーして楽しめるようになる『マインド』が中級向けだという意味だと思っていますし、それができるのが中級向けの魅力だと思います。
Tama:中級向けサークルは毎週会って”また来週”と言って別れることができる仲間ができたことがいいことですね。
たえぽっぽ:中級向けサークルは単発ではなく連続なので、毎週ちょっとずつ距離が近くなって近くなって、繋がりが強くなるっていうのが良いところです。それは意図してなるわけじゃなくて一緒にプレーすることで自然と強くなっていきました。それが中級向けサークルの魅力です。
たっつん:中級向けサークルは、毎週同じ曜日、同じ時間に集まることの意義が大きいと思います。「同じ釜の飯を食う」感じですね。特に1回目の中級向けサークルは平塚の大会に出場するという目標があったことも大きかったです!正直、申し込みするのに一瞬躊躇しましたが、もう逃れられない、羽交い絞め状態の方が楽しいだろうと思って参加しました笑
ーーー中級向けサークル 第1期では実際にビーチラグビーの大会に出場したんですね。
たー:普段は平日夜に渋谷のMIYASHITA PARKで練習しているのですが、ある意味涼しい。実際にビーチラグビーの会場に行ってみると太陽は暑いし、砂浜が火傷しそうに熱くて。”これまでの練習で何やっていたんだろう”と感じるほどでしたでした。短い期間しか練習をしていないと分かっていても、やっぱり負けたときは悔しかったですね。ずっと悔しがっていました。
Tama:城南島でやっているビーチラグビーの練習会にも行ったりして、事前に準備していました。
たえぽっぽ:前の週に5人くらいで実際の試合会場にも行きました。実際に行ってみて必要な持ち物とか、準備しなくちゃいけないもことが分かって、皆で共有して準備しました。
ーーー中級向けサークルが終わってSTELLAR SCRAMBLE(以下、ステラ)が始まりましたが、どのような経緯で立ち上がったのでしょうか。
Tama:中級向けサークル 第2期 が終わる頃に、”ラグビーをする場所がなくなっちゃうね”という話が周りでちらほら出ていました。そんな時にきーるさん(喜連航平選手)と話したことがきっかけになり、自分たちで新たにサークルを立ち上げました。
Tama:きーるさんと話した際に「サークルを立ち上げるならば、運営担当が何人かいると良いのでは」と話を聞いて、他の3人がすぐに思い浮かびました。中級向けサークルで一緒だったので相談しやすいですし、きーるさんのラグビーに対する想いも受け止めているメンバーなので、サークルを立ち上げる想いにも共感してくれるという安心感がありました。
たえぽっぽさんは細やかな管理等を担当されています。以前からアフターマッチファンクションで幹事をしてくれてお金の管理をしてくれていました。たーさんは練習メニューを考えてくれて、たっつんはSNSの発信を担当してくれています。私はみんなに声をかける人と役割もうまく分かれています。
たっつん:役割分担を細かく話し合ったわけではないのですが、得意分野が異なるので自然にばらけたというか。最初に色々決めごとを整理したので、今はそれに沿って運営しています。慣れてきた頃に拡張していきましょうって話しています。
たー:サークルを立ち上げる時に、きーるから『(おとラグの想いを)繋いでほしい』って言われたのが強く心に残ってます。きーるにそう言われたら、サークルを立ち上げるしかない!と思いました。今は次のおとラグが始まるときに、きーるにいいバトンを渡せるように頑張っています。そのときにきーるを”エグっ”って驚かせるのが目標です!笑
ーーーステラが始まってみてどうですか。
全員:楽しいです、最高ですね!!
Tama:すごく雰囲気がいいんです。初めて参加した人がトライしたりすると、全員で喜んだりして、おとラグの良さを受け継いで楽しめています。メンバーがみんな”ウェルカム”な感じで初めての人も全然失敗できるような雰囲気です。初めて参加した人でも、仲良くなれる友達ができる感じがあります。みんなで楽しくわいわいしているから毎回コートの外で外国人観光客が参加したそうに見ています笑
たえぽっぽ:童心に帰るというか、無心になれるっていうか、ただただ楽しいことをみんなしてて、楽しいから遊んでる感じが自然と出てきています。
たー:実戦的なゲームを楽しめています。だからと言って初心者が楽しめない訳じゃなく、運営メンバーだけでなく他のメンバーも一緒になってボールの投げ方、ルール、技術などを教えてくれる環境で、1度参加するだけでステラの一員になれるのが魅力です。
たっつん:平日仕事をしながらなので正直大変ですが気分転換ですね。サークル名の通り、メンバーがサークル活動を通してキラキラして交流を深められる場になっています。大人になってもわちゃわちゃできるって素晴らしい!
ーーーおとラグがあって、その後ステラを発足していく中で、ご自身に変化はありましたか。
たっつん:年を重ねると塩梅な選択になりがちで、ヒットは打ててもホームランは難しくなってきます。変化を恐れるというか、大冒険をしないというか。もともと好奇心は旺盛なキャラクターではありますが、より変化を楽しむことをできてきた気がします。
たえぽっぽ:わたしはものすごく変わりました。元々人見知りを理由にして、新しい人と出会うことを避けてきました。自分で自分を人見知りで出不精でコミュ障と思っていて、ライブや試合に行くのも一人で完結していました。いちばん最初のターニングポイントはNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ(現:浦安D-Rocks)のファン感謝祭に行ったことです。ラジオの公開収録イベントで初めてきーるを知りました。そこでラジオで名前だけ知っていたファンの人たちの顔も分かったから次はイベントに行けて… と少しずつ勇気をもらって行動するようになりました。そして『おとラグ』に出会ってみんなと出会いました。何より自分がラグビーをすることも何かに熱中することも想像すらしていませんでした。そのおかげでいろんな人と出会ったり、行動範囲も広がりました。アークスのファン感謝祭前の自分では考えられないほど社交的、行動的になりました。自分で一歩踏み出すきっかけになったおとラグにもきーるにも本当に感謝しています。
Tama:おとラグ、特に中級向けサークルを始める前までは、仕事中心の生活をしていました。常に仕事をしてて、休日はラグビー観戦を楽しむけれど、平日は常に残業で仕事に没頭する日々でした。それが火曜日(中級向けサークルの練習日)だけは絶対に早く帰るようになって、周りも”火曜日だけは仕事を振らない”と認知してくれるようになりました。おとラグ中級向けサークルへ行くようになって、仕事以外も楽しめるようになって、オン/オフの切り替えてもできて、メリハリがある生活に変わりました。また仕事でいろいろあっても、みんなとラグビーすると気持ちがすっきりして自然と笑顔に戻っていました。だからこそ、ビーチラグビーを続けたいと思いました。
たー:好きな言葉に『金儲けより人儲け』という言葉があります。若い時ってお金を儲けることを考えてしまうけど、ある程度人生を重ねてくると、『人との繋がりが人生を豊かにすること』が分かってきました。年を経ると男女とかの垣根はなくなる一方で、社会が狭くなってきて友達ができなくなってきます。その中でおとラグ、特に中級向けサークルは同じゴールを持っている人が集まっています。普通だったら会えないし、仲良くなるまで時間がかかりそうな人もたった2時間で仲良くなります。そういう人儲けというか人脈で人生が豊かになったことが、なによりおとラグをやってよかったと思っています!
ーーーありがとうございました。私も見学に行きたくなってきました。
Tama:見学では足りなくなりますよ笑 一緒にやりましょう!
■筆者のつぶやき
「おとラグって”エグっ”」まさに『きっかけのチカラ』にふさわしいインタビューでした。お話をする様子からも、おとラグやラグビーへの愛が伝わってきます。それは簡単な「好き」ではなく、おとラグ、STELLAR SCRAMBLEをきっかけに人生が変わり、価値観が変わったことを自分自身が一番楽しんでいて、更にそれを周りに広げています。他人の人生を変えるほどのおとラグの魅力に私も取り込まれています。
(*1)三菱地所グループ 「僕にしかできないこと」篇改訂2021 60秒